バイクに乗り始めてしばらくすると、必ずといっていいほど遭遇する人がいる。「大型はいいぞ」「やっぱり大型じゃないとね」と、会うたびに言ってくる人だ。
悪意があるわけではないし、大型バイクが楽しいのは本当のことだとも思う。ただ、言われる側としてはちょっと疲れることもある。
この記事ではそういう人との付き合い方と、あと少しだけ「なぜそうなるのか」についても書いてみる。
「大型はいいぞおじさん」とはどんな人か
「大型はいいぞおじさん」とは、大排気量(大型)のバイクに乗っているライダーが、小排気量(250ccや125ccなど)のバイクに乗っている人へ向かって「大型はいいぞ」と言いながら、大排気量バイクのなんたるかを自慢を交えつつ語ってくる人のことを指す。いわゆる「排気量マウント」をしてくる人、と言い換えてもいい。
- 大型はいいぞ
- バイクはパワーだ
- 小排気量はバイクじゃない
- 大型は楽しいから乗りなさい
世間一般的には、大型バイクに乗っていることを自慢し、その価値観を悪気もなく押し付けてくるようなタイプのライダーを指すことが多い。道の駅や休憩スポットで、ふと話しかけられた経験がある人も少なくないはずだ。おじさん世代に多いことから「大型はいいぞおじさん」と呼ばれやすいのだろう。

つちなつはマウント自体はとられなかったけど、「ナンシーおじさん」に遭遇したことはあるよ。文字通り「このバイク何cc?」と聞いてくるところからナンシーおじさんと命名されたよ。
なぜ「大型はいいぞ」と言いたくなるのか
これは本人たちが無意識でやっていることが多いので、完全に推測にはなるけれど、大きく3つのタイプに分かれる気がしている。それによって遭遇したときの対処方法も変わってくる。
純粋に大型バイクを楽しんでいるタイプ
私が教習所に通っていたときの話だ。40〜50代のおじさんが大型免許の教習に来ていた。世間話のついでに、なぜその年齢で大型免許を取ろうと思ったのか聞いてみたところ、「子育てが落ち着いて経済的にも余裕が出たので取得しに来た」とのことだった。
それを踏まえると、純粋にバイクを楽しんでおり、その良さをライダー同士で分かち合いたいがために話しかけてくる、という可能性がある。
小排気量バイクに乗っている若者こそ、将来的に大型バイクの楽しさを知ってほしい。
といった思いから、純粋に勧めている可能性もある。「大型はいいぞおじさん」のすべてがこういう人ならいいのだけど。
文字通り小排気量を見下して優越感に浸っているタイプ
逆に、こちらはそのままの意味だろう。大型の性能や良さをあからさまにひけらかして、あたかも金持ち自慢のようなタイプ。おそらく世間のライダーのほとんどが遭遇するのはこちらのタイプだ。
- お前らより長く人生を生きているんだぞ
- 経済的に小排気量ライダーに勝っているぞ
- お前たちにはこのバイク乗れないだろう?
といった、見下して優越感に浸るタイプではないだろうか。
たくさんお金を出して、高くて性能のいいバイクに乗っている俺最高!
とでも思っているのだろう。知らんわ、こっちはこっちで楽しく乗ってんだからほっといてくれ、価値観を押し付けるな、という気持ちになってしまう。
バイクショップの店員に勧められた実体験
個人だけでなく、業界のプロから勧められたこともある。後輩がバイクを買うのに付き合って、それなりに大きなバイクショップへ行ったときの話だ。
私自身は普通二輪免許しか持っていないのだが、対応してくれた店員さんから「大型免許を取っておいた方がいい」と勧められた。理由を聞くと、「大型免許さえ持っていればレンタルバイクという選択肢もあるので、所有しなくても維持費はそこまでかからない。それに乗れる世界が広がる」とのことだった。
なるほどとは思った。でも、正直なところ納得はしていない。
私が大型免許を取らない一番の理由は、実は経済的な事情よりも「日本の道路交通法のもとでは、大型バイクの性能を活かしきれない」と感じているからだ。法定速度や道路事情を考えると、普通二輪でも十分にバイクを楽しめる場面がほとんどで、大型ならではの性能をフルに発揮できるシーンはかなり限られている。レンタルで気軽に乗れるとしても、そこに対する優先度が自分の中では正直高くない。
店員さんも商売っ気だけで言っているわけではなく、純粋にバイクの楽しさを広めたい気持ちがあるのだと思う。ただ、「いい」と勧められることと「自分にとって今必要かどうか」は別の話だ、というのがこの体験から得た実感だった。
排気量マウントへの対処法
どちらのタイプにせよ、正直言われた方は気分のいいものではない。とはいえ無下にしにくいシチュエーションなことも多いので、対応に迷っている人もいるだろう。そんなときは下記を試してみてほしい(試した結果アクシデントが発生しても責任は負わない)。
そもそも話しかけられにくい場所にバイクを停める
私もそうだが、ソロツーリングで誰にも話しかけず&話しかけられずに、周りの風景を楽しんだり、休憩時間に水分補給しながらたそがれたい人は多いはずだ。そんなときは、人が集まりやすい場所から離れた駐車スペースに停めよう。さくっとトイレ休憩とドリンク購入を済ませて、さっさとバイクのもとへ戻る。
明らかな態度で「話しかけるなよ?自分は一人が気楽でいいんだ」というオーラを出しつつ、ドリンクを飲みながらスマホや地図を見て調べ物をするといいだろう。

個人的には、スマホやカメラで周りの風景などを撮影して話しかけにくいようにするのがおすすめ。めっちゃ楽しんでいる感が出ていいと思う。私は排気量マウント対策とは関係なく、道の駅でダンボーの撮影とかいつもやっているけど。
スマートな切り返しを言う
もし相手の発言があきらかに自分をバカにしているような言い方で、気分を害されてしまったら、以下のような切り返しを言うのもいいかもしれない。
- 乗っているバイクの排気量に反して、人間の器は50ccなんですね
- その理論だと車なら10tトラックが最強ってことだけど?
- あなたがそのバイクを作ったわけじゃないのに偉そうですね
ただし、明らかに煽るような言い回しなので喧嘩になる可能性がある。状況を見て本当に言うかどうかは個人で判断してほしい。実際に言ったことでアクシデントになっても当方は責任を負わない。

つちなつは体格に恵まれた&スポーツをやっていることもあり、190センチ100キロある。だから2つめの切り返しの応用で「じゃあ人間も大きいほうがいいよね。あなたは小さいからしょぼいってことよね」って言いそうな気がする……。
曖昧な返事でスルーしてとっとと離れる
これが最良な選択な気がする。「へーそうなんですねー」といいつつスーッと離れていくのが一番無難だろう。それでも追いかけてくるようなら、犯罪者に追われているような雰囲気で逃げよう。そのまま人がいる施設の中に入ったり、トイレの個室に入るとよい。
「大型はいいぞおじさん」は無意識に悪気なく話しかけてきている可能性があるため、こちらが一方的に傷つけるような状況は避けたい。仮に相手から煽ってきたとしても、相手の土俵に立って同類に落ちぶれる状況は避けたほうがいいだろう。

心の中で「残念な人だな」と思いながら華麗にスルーが最適解。なかなか言い出しにくいかもしれないけど、「ごめんなさい、もう行かなくちゃ」って言えるといいかもね。
ちなみに、マウントおじさんの顔を撮影してSNSで晒すのだけは絶対にやめよう。名誉毀損で訴えられたら余裕で負ける。どうしてもSNSに愚痴を吐きたくなったら、文字だけで吐き出そう。こういうのは気にしすぎたら負けだ。
ちなみに、休憩中にスマホを見るふりをする作戦をやるなら、ハンドル周りが充実しているほど自然に見える。バイクのカスタムついでに、こちらの記事も参考にしてみてほしい。
自分も知らずにやっていないか、という自戒
ここまで「大型はいいぞおじさん」について好き勝手に書いてきたけれど、ふと我が身を振り返ってみる。自分も誰かに対して、似たようなことをしていないだろうか。
たとえば、好きなガジェットやライフハック、温泉やツーリングの話になると、つい前のめりになって語ってしまうことがある。「これいいよ」「絶対試したほうがいい」と、相手が求めていないタイミングで熱量だけぶつけてしまったことも、振り返れば一度や二度ではない気がする。

正直、ブログを書いている時点で「この良さをわかってほしい」という気持ちが土台にあるわけで、マウントおじさんと紙一重なところはあると思っている。違いがあるとすれば、相手が読みたいときに読める記事という形にしているか、その場にいる相手に問答無用で話しかけているか、くらいかもしれない。
「好きなものを語りたい」という気持ち自体は悪いものではない。ただ、それが相手にとって心地よいタイミングと熱量かどうかは、また別の話だ。話しかける前に少しだけ相手の様子を見る。長くなりそうなら「興味があったら聞いてね」くらいの距離感にしておく。そのひと呼吸があるかないかで、マウントおじさんになるかならないかが分かれる気がしている。
排気量より大切なこと
「大型はいいぞおじさん」と排気量マウントへの対処方法を紹介してみた。結局それぞれが楽しくバイクをエンジョイするために、お互いの価値観は押し付けず、楽しみ方は人それぞれだということを念頭に置いておきたい。実際、大型に乗ってたけど125ccに落ち着いた、なんて人もいるくらいだ。
結局、自分が楽しいのが一番。排気量よりも、それぞれが自分のペースでバイクを楽しめているかどうかのほうが、よっぽど大切なことだと思う。
よくある質問
「大型はいいぞおじさん」とはどういう意味?
大型バイクに乗っているライダーが、小排気量のバイクに乗っている人へ「大型はいいぞ」と繰り返し話しかけてくる人を指す呼び方だ。
排気量マウントとは?
バイクの排気量の大きさを引き合いに、暗に自分の方が優れていることをアピールする行為のことだ。
排気量マウントをされたらどう対処すればいい?
話しかけられにくい場所を選ぶ、曖昧に流して離れる、状況によっては軽く切り返す、の3パターンが現実的だ。具体的な例は本文中の「排気量マウントへの対処法」で紹介している。
大型バイクに乗っている人は全員マウントしてくるの?
必ずしもそうではない。純粋にバイクの良さを共有したいだけの人や、業界として合理的に勧めてくる人も多く、決めつけすぎないことも大切だ。
「○○はいいぞ」というネットスラングの元ネタは?
映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の感想として広まった「マッドマックスはいいぞ」が起点とされ、そこから「ガルパンはいいぞ」など同型の言い回しが派生していった。バイクの文脈では、この言い回しが「大型はいいぞ」に応用された派生形と考えられる。
納得してもらえたら、こちらの記事もどうぞ。




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